レースに参戦して勝利するというプレッシャーだけでは物足りなかったかのでしょうか、石川選手はほかにもう一つ、別の計画を立てていました。それはなんと、彼女にプロポーズするというもの。そしてレース当日。計画通りに優勝を勝ち取り、フィニッシュラインで片膝を立て、疲労で少しふらつきながらも無事プロポーズ。普段は違う意味でランナー泣かせのバッドウォーター135ですが、二人が抱きしめ合うと山の上にいた誰もが喜びの涙を流しました。
石川選手は2017年にIAU24時間走世界選手権で(267.56km)、2018年にアテネのスパルタスロン(245.3kmの)で優勝。今回バッドウォーター135を制し、ついに世界大会3冠を果たしました。
私たちはレース後の石川選手にインタビューし、忘れがたい一日について詳しく話を聞きました
Q&A
石川選手、「世界で最も過酷なレース」参戦に向けてどのような準備をすすめましたか?
2カ月間、毎週日曜日に100km走をしました。精神面の強化という意味合いが強いトレーニングです。週の走行距離はだいたい200 kmですね。
レース前は何を考えていましたか?レースに勝てると思っていましたか?
IAU24時間走世界選手権(2017年優勝)、アテネのスパルタスロン(2018年優勝)、そしてバッドウォーター135の、3つのレースで勝つことが大きな目標でした。勝てると思っていたというより、勝つしかないという気持ちで挑みました。不思議と精神的に落ち着いていたのは自分でも面白いと思いました。
レースで最も苦しい局面はどこでしたか?
ホイットニー山中腹の、標高2,500mまで上がるラストの20kmです。200km以上走った身体に負担が掛かって苦しい時間でした。
暑さの中を進むレースでは水分補給が鍵となりますが、十分に水分を補給するために工夫した部分はありますか?
給水は基本的に、1マイル(1.6 km)ごとにあります。火照りを取り除くために、冷たい水を足や身体にかけました。こんなにたくさんの量の水と氷を使ったレースは初めてだったので、バッドウォーター135がいかに特殊かを身に染みて感じました。