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上り坂の走り方:最良のテクニックとメリット

上り坂を走るのが好きなランナーもいれば、上り坂はちょっと…というランナーもいます。でも、さまざまなスポーツの一流アスリートやコーチにとって、上り坂ラン ニング ―上り坂スプリント、上り坂トレーニングなど呼び方は他にもありますが―は、体を鍛えスピードを養うための、最も効果的で手っ取り早い手段の一つです。ガイドを読んで、上り坂を走るための最良のテクニックを学びましょう。

 

上り坂を走ると、筋肉、体力、スピードの増強に役立ちます。それだけでなく、心血管系の働きを調整したり、普段鍛えるのが難しい筋肉に働き掛けたり、ふくらはぎを伸ばしたり、走る時の姿勢を改善したりできます。これらは、基本的にランナーが前に進むために必要となる重要な要素。今回は、上り坂でのランニングについて深く掘り下げます。ここで紹介するテクニックは上達への近道。効率的にできるようになるヒントが満載です。きっと上り坂に対する苦手意識も解消されるでしょう。

 

なぜ上り坂を走るのは苦痛なのか

 

まずは「嫌なところ」から始めましょう。上り坂に尻込みしてしまう要因は大きく二つあります。第一に、上り坂はわずか数分進んだだけで、すぐに疲れてしまうからです。プロのアスリートならきっと誰しもがこう言いうでしょう―「でも実際には『疲れ』はあなたの味方なのですよ」、と。

 

自分を限界まで追い込むことで(疲労し)、それが新しい正常な状態となり、体はもっと上のレベルに挑戦する準備ができます。

 

心理学的に見ると、私たちは上り坂でも、平地と同じ速度と距離が走れると過大評価をしがちです。特にスタート時点ではそのような傾向が強く、結果、上り坂では骨折り損のくたびれ儲けのように感じてしまうのです。また、初めて上り坂に挑戦する人たちは、あまりにも勾配のきつい坂道を選んでしまい、効果的なトレーニングができていないことがよくあります。のちほど詳しく説明しますが、上り坂のトレーニングは、最初は傾斜の緩やかな所から始めて、段階的に距離を伸ばしながら傾斜を大きくしていくことが大切です。そうすれば、長期的に慣らしていける上、早過ぎる段階での急激な疲れで精神的なハードルが上がるのも防げます。

 

 

上り坂に向かうランナーが怖気づいてしまう二つ目の理由は、坂道を走った翌日の、あの独特な筋肉痛のことを考えてしまうからです。日頃のトレーニングに坂道のランニングが組み込まれていない人が、急に傾斜のある場所でトレーニングをすると、通常のランニングよりも回復に時間を費やすことがあります。これは、上り坂のランニングで使われる特有の筋肉群が原因です。上り坂は、特に太ももの大腿四頭筋、ふくらはぎの細長い筋肉、そして(もちろん)臀部の筋肉を使います。幸運にも、他の筋肉痛と同じように、適切な食事をし、ストレッチをして、クリームを塗布すれば、すぐに元の状態に戻ることができます。足をケアする10のテクニックとヒントも、この記事に盛り込みましたのでぜひ活用してください。

 

すべての上り坂はそこから始まる

 

上り坂でのランニングを始めると、それらの「ネガティブな」側面は、実際にはメリットであることがすぐに分かると思います。呼吸の効率化、筋肉とマインドセットの強化、全般的な持久力の向上など、これらすべてを享受できます。上り坂のランニングは、けがからの回復をサポートするためにも用いられます。「普通の」ランニングとは異なる筋肉が使われるため、特にハムストリング、ひざ、臀部の回復に効果があります。また、現代の大会の開催スタイルに適したレースの準備ができることも、メリットとして挙げられます。

 

過去10年間で、トレイルランニングイベントの人気は世界的に高まりました。特に「伝統的な」ロードマラソンやトラック競技からの脱却を目指す人たちから注目を集めています。

 

トレイルランニングの特徴の一つとして、コースが起伏に富んでいるという点があります。そのような特徴は、平地で速く走れるランナーと、技術的に優れたトレイルランニングのプロ選手のランニングレベルを(皮肉にも)均一にします。そのようなことから、通常より冒険性の高いトレイルでのレースの場合、上り坂を征する者がたいていその日のレースを征します。

      

 

上り坂を走るための10のテクニックとヒント

 

1. 背筋を伸ばして走る

 

山でのランニングをマスターするには、まず平地と同じような原則で走ることが必要です。その中でも特に忘れがちなのは、体を真っ直ぐにして背筋を伸ばし、目を(下ではなく)前に向け、胸を張り、腰とひざを一直線上に保って走ることです。ひじは曲がっていなければなりませんが、上腕二頭筋と肩・広背筋と連携して普段よりも激しく動かすので、中立な状態にしておきましょう。体をまっすぐにすると、ひざは自然にいつもよりも高く上がるので、上り坂を進みやすくなります。

 

2. フォアフット

 

多くのスプリンターがトレーニングに坂道を取り入れる理由はこれです。上り坂を走る場合、傾斜が大きければ大きいほど、フォアフット(前足部)を使って上ることになります。坂道を走る最も大きなメリットの一つは、平地をより速く走るために必要なスピードを養えることです。もちろん、フォアフットを強化するトレーニングでメリットを得られるのは、スプリンターや競技ランナーだけではありません。(プロの長距離ランナーの大半がそうだと言われる)ヒールストライカーは、足のけいれんを予防するために、フォアフットのトレーニングをバランスよく取り入れることが必要です。そのため、長距離のトレイルレースで丘を走ることは、繰り返し足に衝撃を与える舗装された道路から離れ、束の間の休息を取り入れられる良い機会となります。   

 

3.「すばやく軽快に」

 

上り坂を走ると必然的に、歩幅も歩数も減ります。最も良い上り坂の走り方は、短い歩幅で小刻みに「すばやく軽快に」走ることです。走るスピードを上げることは、全体のスピードを上げることにはなりません。多くのアマチュアランナーが、坂道を走り始める時にペースを上げるという間違いを犯します。このテクニックの問題点は、呼吸を整えたり、走る勢いを変えたりすることで、本当の上り坂との戦いが始まる前に疲れてしまうことです。 

 

4. 階段でゆっくり始める

 

階段を駆け上がることと上り坂を走ることには違いがあります。多目的なトレーニングプランの一環としてやるのであれば、どちらにも意味はありますが、それぞれの目的は少し異なります。階段でのランニングは、自然の坂道を走るのに比べて、(角度は30度前後と)傾斜が大きくなる傾向があります。階段の主なメリットは、「すばやく軽快な」足どりで走るテクニックが向上することです。その場合は、普段の呼吸のペースを保ちながら、階段を一段一段駆け上がることに集中しましょう。これをマスターすれば、登山を征するのに必要なヒルランニングの適切なテクニックを自然に身につけられます。

 

5. 適切なシューズ

 

上り坂のランニングには、軽量でありながら、フォアフットに抜群のクッション性が備わっているシューズをおすすめします。上り坂をするランニングシューズにおいて、着地の勢いから生じるエネルギーの伝達効果は嬉しいボーナスポイントにはなりますが、まず考慮すべき重要なポイントの一つは、シューズ全体の重さです。

 

もちろん、坂道のスプリントと上り坂トレーニングについて覚えておくべきことは、上ったら下らなければならないということです。

 

クッション性が高すぎると、下り坂の勢いを妨げる恐れがあるため、下り坂にも対応できる優れたバランスを備えていなければ、最良の上り坂用ランニングシューズとは言えません。

 

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6. 準備ができたら坂道に挑戦しよう

 

小刻みな素早いステップをマスターして、適切なギアを手に入れたら、階段から坂道へのトレーニングに移行しましょう。上り坂の練習に最適な場所は、森や山の中の、緩やかな傾斜のある、起伏に富んだトレイルです。このような地形は、自然に筋繊維の成長を促します。また、広大な風景の中では、常に新しいランニングルートを開拓できます。そして、たとえ「同じ」上り坂を走る場合でも、地面を踏みしめる感覚は常に異なります。 

 

7. 坂道の勾配:モグラ塚 vs

 

上り坂のトレーニングでは、自分のレベルに合った傾斜を見つけて、気軽に少しずつ始めることが大切です。あまりにも勾配が急すぎると、すぐに疲れてしまうので、初心者は諦めてしまうことがあります。一番の近道は、徐々に傾斜をつけながら、その坂を制覇して新たな挑戦に立ち向かえると確信できるまで、同じルートを走ることです。

 

8. 屋内の傾斜でも大丈夫

 

傾斜を付けたトレッドミルの人気が急上昇したことによって、上り坂のランニングに対する前向きな意見が増えてきました。大都市で生活をしているなら、傾斜を付けたトレッドミルは、(地元の高層ビルの階段を除いて)あなたが簡単にできる唯一の上り坂トレーニングかもしれません。もちろん、傾斜をつけたトレッドミルの主な問題は、すべてのトレッドミルと同様、自然の中で上り坂を走る時のような、地面の多様性に欠けるという点です。この「単調さ」と戦いながら、上り坂に対する総合的な力を強化するには、傾斜をつけたトレッドミルでのランニングと、ジムのステッパーマシンでのトレーニングを交互に行うことです。筋肉群を二重に鍛えることで結果が出やすくなり、屋内でのセッションの価値がさらに高まります。

 

9. 休息と回復

 

坂道のスプリントは苦痛です。当日や翌日の極度の筋肉痛とうまく付き合うために、坂道のトレーニングでは、次のことに注意しましょう。

 

  • トレーニングが終わったら、大腿四頭筋とふくらはぎを真っすぐに伸ばすストレッチを必ず行いましょう。ストレートレッグ・カーフストレッチとニーリングストレッチが、この場合は最も効果的です。
  • 筋肉の断裂は回復にタンパク質を必要とするので、トレーニング後はきちんと食事をとって、早く治すように心掛けましょう。鶏肉、米、卵などの定番食材やプロテインを摂取するのが最も手っ取り早い方法です。
  • トレーニング後にシャワーを浴びるのも、翌日の筋肉痛を和らげるのに有効です。より早い回復を促すには、足に熱いシャワーと冷たいシャワーをそれぞれ30秒ずつ交互にかけ、それを3分間行います。 
  • すべてが終わったら、再び上り坂を走るまで数日待ちましょう。自分の体と足の声に耳を傾けましょう。完全に準備ができたと感じたら、走っても大丈夫です。

 

さらに回復に特化したヒントやコツについては、こちらのマラソン回復ガイドをご覧ください

 

10. 坂道のランニングの効果を得よう

 

マウンテンレースへの初参加を目指している人も、ランニングの強度を高めたいと思っている人も、ただより良いランナーになりたいと思っている人も、上り坂を走ることで、目標への近道を見つけることができます。肝心なのは、ゆっくりと始めて、テクニックを練習し、ここで紹介したヒントを取り入れ、自分に合ったものをすべて試してみることです。エベレスト初登頂を成し遂げたエドモント・ヒラリー卿の言葉があります。


我々が征服すべきなのは山ではなく、自分自身だ。

 

では、頂上でお会いしましょう。  

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