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レースコンディションを維持する方法

レースが再開されたときに、今よりも良いコンディションで参加できるようにするには、どのようなトレーニング計画で身体を強化すべきなのでしょうか。On ZAP Enduranceチームのライアン・ウォレンバーグコーチに話を聞きました。

 

2020年のレースは大幅なスケジュール変更が行われているため、どのレースに焦点を置いて今後のトレーニングを計画したら良いのかは、誰にも分かりません。さらに、さまざまな制限が加えられている現状を踏まえると、トレーニングのプランニングには創造力を最大限に活かす必要がありそうです。今回はレースが再開される日まで、どうやってコンディションを維持するのか、その最適な方法をOn ZAP Enduranceチームのライアン・ウォレンバーグコーチに聞きました。 

 

多くのランナーが特定のレースに向けた計画に沿ってトレーニングしていたのですが、それらのレースはすべて延期されてしまいました。この現状にどう対処すべきでしょうか? 


ライアンコーチ:「レース開催中止が決まり、レースがなくなってしまった状況でできる最善策は、ベーストレーニングに戻ることです。75〜85%の労力で行なう、負担のかからない距離のランニングと強度を抑えたワークアウトを組み合わせたこのトレーニングは、有酸素ベーストレーニングの構築に集中できる絶好の機会となります」

    

「マラソンペースでのランニングと軽めの(スピードや走る地形に変化をもたせて行う)ファルトレクは、この類いのワークアウトにぴったりです。体力増強と効率の向上のために短めの坂道を組み込むのも良いでしょう」 

 

「大半の長距離ランナーは通常、有酸素トレーニングと遅筋線維(遅筋)の筋持久力強化に十分な時間を取れない傾向があります。そのため、普段顧みられることのないこの部分に時間を割くのは効果的と言えます」

 

「また、適度な有酸素トレーニングは、過度なトレーニングや極度の疲労のリスクを伴わずに比較的長時間継続して行うことができます。ですから、予定が不確かな状況下では、この種のトレーニングを行なうことが最も効果的な過ごし方となるわけです」

    

「また、筋力トレーニングを行って弱点を克服するのも良いでしょう。平常時はランニングと筋力トレーニングを両立するのが、時間の調整やエネルギーバランスの面で難しいこともあるので、今のこの状況は自分の弱点を補強するのに最適です。この期間中に筋力トレーニングで有酸素のベーストレーニング作りをしておくと、参加レースの日程が決まり、激しいトレーニングをするべき時が来たときに、ベストなコンディションで臨めます」

 

 

現在の状況下でランナーに避けて欲しいワークアウトはありますか? 

   
「一般的には、最大限の労力を要するワークアウトは避けるべきです。例を挙げると、5㎞ペースでのハードランやインターバルトレーニング、ハイスピードもしくは過酷な長距離ランなどです。これらのトレーニングは、免疫システムを低下させる(マラソン後に体調を崩す人が多い理由はこれです)だけでなく、時間に依存したワークアウトでもあります。言い換えれば、レース当日にピークを持っていくことに照準を合わせて身体を作っていく、レースに特化したワークアウトです。現在のように、目標とするレースが予定表に入っていなければ、ワークアウトのタイミングがずれて、誤ったピークに向けて身体づくりをすることになるでしょう。そのようなトレーニングを推し進めると、有酸素能力が損なわれたり、パフォーマンスが劇的に低下して極度の疲労感に陥ったりしますので気を付けてください」

 

トレーニングのペースを落としてしまうと、スピード低下を招く危険はありませんか? 

   
「トレーニングのペースを落としても足の速さを維持でき、向上させることすらできるトレーニングがあります。週に1、2回ゆっくりと走ったあとに、15〜30秒のストライド(スピードを上げてスプリントに持っていく)を6〜10回加える方法です。このとき、力を抜いて、良いフォームで走ることに意識を集中します。最高スピードで走る必要はありませんが、このトレーニングを行なうと、終わり頃にはかなりのスピードで走っているはずです。毎週1~2回、このトレーニングを上り坂で行うこともおすすめです。このストライドトレーニングは速く効率よく走る能力の維持と強化に効果的です」

  

 

5㎞や10㎞レースのトレーニングをしていたランナーと、ハーフまたはフルマラソンの準備をしていたランナーでは効果的なトレーニングは違いますか? 

   
「10㎞以下の短めのレースに向けてトレーニングをしていたのなら、特定の目的のために行なう5㎞以上の速いペースでの激しいインターバルワークアウトは避けた方がよいでしょう。そういったワークアウトは時間とともに有酸素ベーストレーニングに悪影響を与え、パフォーマンスの低下を招きます。週に1回、スピードを維持するために30~45秒間の長めのストライドを行い、レースのスケジュールが再度決定した時に、特定のトレーニングにすぐに切り替えられる準備をしておきましょう。 

 

「春に目指していたレースがなくなってしまい、夏のハーフマラソンやフルマラソンを目指している人には、1日おきに短い距離をゆっくり走る7〜10日間のトレーニングに戻ることをおすすめします。たとえレースがなくても、激しいトレーニング期間で疲れた身体を回復させることが重要です。その後で、マラソンペースでのランニングや軽いファルトレクなどの適度な有酸素ワークアウトを追加していけば良いでしょう」

 

「長距離ランの距離を普段より10〜20%短くして、その最中に特定のトレーニングをするのは控えましょう。この長距離ラン練習は、5㎞の激しいインターバルトレーニングに匹敵する時間依存型のトレーニングです。このワークアウトをやり過ぎるとオーバートレーニング状態に陥り、パフォーマンスが低下します。コンディション維持のための長距離ランを適切に行なうと、有酸素能力が強化され、次のレースの予定が分かり次第すぐにレースに向けた強化練習をスムーズに再開できます」

  

 

夏や秋まで同じレースプランでの強度でトレーニングし続けた場合のリスクは何ですか? 


「どんなイベントのために準備をしていようとも、健康を維持しながらパフォーマンスを最大限に高めるためには、年間予定の中に回復期を組み込むことが必要不可欠です。つまり、一年を通して同じトレーニング強度を維持しても改善は見られず、最悪の場合は、けがや極度の疲労感が発生します。トレーニングの強度が高い場合には特にこの状況に陥りやすくなります。比較的緩やかな強度で行うトレーニングは、最大限の強度で行うトレーニングよりも長い時間実行できます」

 

現在外に出て走ることのできない人たちがランニングの再開に備えて体調を維持するためには、どのようなワークアウトがおすすめですか?

   
「現在、外出を控えた生活を余儀なくされ、走ることのできない人たちは世界中にたくさんいます。ルームランナーを持っているならばそれを使ってください。精神面への効果は別として、おそらく、外で走るのと同じ効果を得られるはずです」

   

「もし走ることができない場合も、有酸素運動であれば何でも有酸素ベーストレーニングの維持に役立ちます」

 

「有酸素運動をするトレーニング機器がない場合には、ランニングに特化した筋力トレーニングに取り組むのが一番です。自宅でできるエクササイズもたくさんありますし、大きな足音や物音を立てずにできるものもありますから、これを続けることで強い身体で効率的に走ることができるようになれます。現在の状況において私たち全員にとって最も大事なことは、ランニングに最適な身体づくりに集中すること。最高の走りを実現する唯一の方法は健康体を維持することなのですから」

 

ウォレンバーグコーチが考案したコンディション維持と有酸素ベーストレーニング強化のための週間プラン例 

  


月曜日:休息日または短めのゆっくりとしたランニング

火曜日:ゆっくりとしたランニングのあとに20秒のストライドを4〜8回*

水曜日:緩めのワークアウト:簡単なウォーミングアップのあと、マラソンペースでのランニングかファルトレクを3〜5マイル** 

木曜日:休息日またはゆっくりとしたランニング

金曜日:休息日またはゆっくりとしたランニング

土曜日:ゆっくりとしたランニング後、30秒の上り坂のストライドを6〜10回行い、坂を上り切ったらゆっくりとしたペースのジョギングで下りることを繰り返す*  

日曜日:長距離ラン 

     
*毎週土曜日と火曜日のワークアウトを入れ替えることで、ストライドを行なう日に坂道と平地の変化をもたせることができます。つまり、火曜日のスライドが坂道なら土曜日は平地で、火曜日が平地なら土曜日は坂道となります


**コーチからの提案:はしごトレーニング


目標は最初の6分間をハーフマラソンのペースで走り始めて、段階的にペースを少しずつ上げていくことです。


6分走る(3分の軽いジョギング)、

5分走る(2分半の軽いジョギング)、

4分走る(2分の軽いジョギング)、

3分走る(1分半の軽いジョギング) 、

2分走る(1分の軽いジョギング)、 

1分走る。 

      

Onアスリートのインドアワークアウトもご覧ください。自宅でのトレーニングに役立つヒントが満載です。           

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