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シリーズ「アスリート的マインドセット」その3:勝負

エリートの領域でレースに挑もうと、時間と戦おうと、単に完走が目的であろうと、勝つためのメンタリティがなければ目標を達成できないものです。プロのマラソン選手がレースに向けて心の準備を整える方法を紹介します。

   

※編集者注:現在多くのレースがやむを得ない理由で開催中止となっています。ただ、たとえレースに出られなくても、ここにあるアドバイスはきっと、優れたトレーニングを行うモチベーションになります。トレーニングを積み重ねた分、次のレースで自分自身をさらに限界の先へ向かわせることができるはずです。出場できるレースはほかにもたくさんあります。今のうちから着々と準備を進めておきましょう。

       

これまで自分の目標に意識を集中して、トレーニングの浮き沈みに耐えてきたあなた。数カ月かけて積み上げてきた成果を発揮する時がついにやってきました。レース当日は、集大成となる勝負の日です。順調にここまでやって来られたのならば、止まらない勢いを確実にするために必要なものはもう一つしかありません。勝負のマインドセットです。これから私たちがレース当日の心理戦に備え、その精神を養うお手伝いをします。

     

今回話を聞いたOn ZAP Enduranceチームのランナーが掲げる目標は、レースに勝つことです。とはいえ彼らのアドバイスは、目標タイムを達成する、決めた距離を走りぬくなど、どんな目標にも有効なアドバイスとして必ず役立つものばかりでした。

      

「レースは苦しい」

   
始めに伝えておきたいのは、今回のテーマである勝負のマインドセットは、今シリーズの第1・2回で取り上げた「目標と「持久力」と相互作用するということ。そう考えてみると、勝負のマインドセットはレース当日にスタートのピストル音が鳴るずっと前から始まっているのかもしれません。On ZAP Enduranceチームで2時間18分の記録を持つマラソンランナー、マット・マクリントック選手に話を聞いてみましょう。 

        

「このマインドセットには2つの部分があると思います。1つ目は、望んでいない日でも外に出るよう自分を奮い立たせる能力を持つこと」

  

モチベーションは一人ひとり違います。マラソンの初挑戦に向けてトレーニングしている人から、オリンピックの金メダルを目指してトレーニングしている人まで、さまざまな人がいますが、誰だってベッドから出たくない日はあります。それでも外に出てほかの人と差を付けられる人が、そのマインドセットを持ち合わせている人です 

   

「2つ目は、レース当日の不快な状況に身を投じられる能力です。僕の座右の銘の一つに(米陸上競技の伝説的選手)ボブ・ケネディーの言葉があります。彼はかつて、『レースは苦しいものだと最初から受け入れる必要がある。さもなければどこにも行き着くことなどできない』と言いました。レースの大変な部分を良い方向に向かわせ、受け入れ、さらには楽しむ能力を持つことが、良いランナーから偉大なランナーへと進化するために極めて重要です」

    

 

プレッシャーに押しつぶされない

  
レース当日は精神的なプレッシャーがかかることがあります。この時に向けて、これまで膨大な時間とエネルギーを費やしてきたのです。家族からの期待を一身に受け、同時にあなたも家族の誇りでありたいと思っています。Stravaで繋がっている友だちが静かに見守っていることも知っているし、良い結果を残して称賛してもらいたいとも思っています。そうして知らないうちに、努力ではなく期待に足が震え始めさえしています。…ストップ。そこでひと呼吸しましょう。あなたの神経の高ぶりで、貴重なグリコーゲンの蓄えが徐々に奪われています。そのエネルギーをもっと良い方向に向かわせる方法があります。 

 

競争者のマインドセットに磨きをかけるうえで重要なことは、自分のモチベーションのバランスを取ることと、プレッシャーを取り除きながら苦しい部分をやり抜く力を持つことです。レース中は予測不可能なので、これは重要です。天気は変わるかもしれませんし、レースには自分自身の目標の達成に集中する数百人もしくは数千人に及ぶランナーがいるのです。あなたがどんなに万全な準備をしていようと、レースには自分でコントロールできない部分がたくさんあります。 

 

2018年のボストンマラソンを11位で完走したジョアンナ・トンプソン選手は、「自信と期待のバランスを取る能力があるかどうかにかかっている」と言います。

 

心の奥底できっと上手くやれると自覚があるときに、そのことに対して自分に過度のプレッシャーをかけずに済むと、私は最高のトレーニングやレースができます 

      

「このバランスを保つのは容易ではありません。でもこの状態に到達できると、レースは地球上で最も美しくて満ち足りたものになるんです」

   

On ZAP Enduranceのピート・レア監督も心のリラクゼーションの重要性を確信しています。 

 

「大きなレース前の数日間は気楽な雰囲気を保つように心がけています。アスリートたちはレースが重要だと知っています。私がそれ以上彼らをあおったり、スーパーボウルやワールドカップのテンションと同じにしたりする必要はありません。彼らに少し冗談を飛ばし、これまで進めてきたレースプランを思い出させるのが私のやり方です」

 

レア監督はまた、「あまり見せたくないことですが、レース当日の私は、指導しているランナーよりもずっと神経質になる傾向があります」とも話しました。 「レースのコース(またはトラック)でチームに送る合図を思い出し、そして、今までやってきた膨大なトレーニングのすべてに思いを巡らせると、気持ちが高まります」 

 

「自分を信じて、今までやってきたことのすべてを思い出すように選手たちにアドバイスします。『自分の記録を見直せ』と私はよく言います。それだけが自分に自信を与えてくれるんだ、と」

     

 

成功するための計画づくり

   
柔軟な姿勢でリラックスしてレース当日を迎えることは大切ですが、それは無計画にレースに臨むという意味ではありません。もちろん、成り行き次第でその計画を中止する必要に迫られることもありますが、そんな時に1つ、ないしは複数の別の計画を立てておけば、何かあったときにすばやく軌道修正をして、とにかくやり遂げることに精神を集中することができます。 

   

「当然すべての可能性に備えた計画を立てることはできませんから、綿密な計画を3パターンくらい立てるようにしています。そして、それぞれにある程度の余裕を含ませるようにしています」(トンプソン選手)

  

「たいてい、(監督の)ピートと私で、フィットネス、天気、コースなどを組み合わせた主な戦略の土台を作ります。プランBは、レースの戦術を考慮したもの、プランCはレース当日の私の気分で左右する可能性があるもの、という風にします」

      

柔軟な姿勢でリラックスしてレース当日を迎えることは大切ですが、それは無計画にレースに臨むという意味ではありません。もちろん、成り行き次第でその計画を中止する必要に迫られることもありますが、そんな時に1つ、ないしは複数の別の計画を立てておけば、何かあったときにすばやく軌道修正をして、とにかくやり遂げることに精神を集中することができます。   

   

    

2019年に米ミソネタ州ダルースで開催されたグランマズマラソンを2時間12分13秒のタイムで走り、2位でゴールしたアンドリュー・コリー選手は、どのようなレース当日のルーチンがあるのでしょう。 

 

「レース当日が好き」なアンドリュー選手はこう話します。「いつもレースの4時間くらい前に起床して、だいたい30分以内で素早く簡単な食事を取ります。次に、愛用のアパレル一式を着てウォーミングアップを始めます。最低でも3枚は重ね着しないと、温かさを保てません」 

 

「ウォーミングアップは、いつも気楽な感じで楽しみながらするのが好きです。チームメートと冗談を言い合ったりしてやっています」。それから何か良い音楽をかけて、それを聴き続けます。あとは家族から僕を信じているというメッセージや電話をもらいます。僕にはそれが絶対必要なんです」

 

マット・マククリントック選手もまた、レース当日のお決まりのルーチンがあり、特にギアに関しては確固たる決まりがあると話します。 

 

「僕は、なんていうか、とても縁起を担ぐ人間なんです。レース当日は、お決まりの靴下、ショーツ、タンクトップを着ます。レース以外では絶対に着ないものです」 

 

「レースではCloudrushと黒のLow Sockを履き、Race ShortsTank-Tを着ます。 ウォーミングアップはCloudstratusを履いて、Tights Long(あるいは特に寒い日はRunning Pants)とPerformance-TPerformance Long-Tを着て、その上にWeather Jacketを重ねます。ウォーミングアップが終わってスタートラインに立つまでは、絶対にタンクトップは着ません」

  

「レース後は、その時の天候次第で変わります。寒い日なら身体が温まる服をとにかく着込みます。比較的暖かい日なら、たいていタンクトップの上にTシャツを着て、靴はCloudrushからCloudstratusに履き替えます。一番嫌なのは(なぜかはわからないんですが)、タンクトップ姿のまま過ごすことです。特にゼッケンが付いたままだと本当に嫌なんです」

  

2時間13分19秒の記録を持つジョー・スティリン選手は、レース後の自分自身へのご褒美は、どんなに疲労で乳酸が蓄積していても、苦しみを乗り越えればご褒美が待っていると思えるため大いに役立つとアドバイスします。 

  

「最近はマラソンを走ったあと、すぐに旅行に出かける計画を立てるようにしています。例えばカナダにカヌー旅行をしたり、(米カリフォルニア州の)モンテレー湾で水族館に行ったりするんです。トレーニングから離れてリラックスしたり、愛する人たちとレースの成功に浸ったりするのは良いものです。そうすることで、リフレッシュした気分で再びトレーニングに取り組めます」

   

Cloudflow
On ZAP Enduranceのアスリート、ジョニー・クレイン選手の頼れるマラソンシューズ:「クッショニングが足に優しくて、見かけもカッコ良いんです」
Cloudflowでレースの流れを手中に
Cloudrush
On ZAP Enduranceのアスリート、ジョー・スティリン選手がレース当日に愛用するシューズ:「マラソンや比較的スピードの速いワークアウト用にCloudrushを履いています。このシューズは、しっかりと地面に着地させてくれるような気がします」
Cloudrushで快適にライバルをクラッシュ

 

勝利を視覚化する
 

2020年の米マラソン代表選考会を2時間12分34秒で走り、11位でゴールしたタイラー・ペンネル選手。あらかじめ把握したコースの詳細を頭の中でシュミレーションして、精神的な準備を整えることが優れた成績を収めるうえで重要だと話します。 

  

「最も重要なレースのトレーニング方法の一つは、どのようなレースになるのかをしっかりと視覚化することです」

 

「2020年のアトランタの選考会を含め、僕がこれまでに経験したほとんどのマラソン大会で、事前に当日のコース見学をしています。そうすることで自信が持てるし、コースを視覚化する土台作りができます」 

 

「視覚化はつまり光景を意味しますが、それ以外にもいろんな要素を含んでいます。たとえば、レースの光景を頭に浮かべながら、レースのその時点をどんな気分で走りたいのかという感情面を自覚することも同じくらい重要です。2019年の秋にニューヨークシティマラソンを走ったとき、僕は頭に思い描くイメージを結びつける目印として、橋に注目しました」 

 

「16マイル地点で一番街のクイーンズボロ橋を通過します。その光景だけでなく、人混みのざわめきや自分がそれにどう反応すべきなのかを想像します。特に人混みのせいでスピードを出しすぎてしまう恐れがあるからです。具体的な詳細部分に集中することで、より生き生きとしたイメージを思い描くことができ、レース当日に役立ちます」

 

On ZAP Enduranceのモットーは「アスリートの真髄は精神力」です。 この言葉がレース当日ほど真実になる日はありません。身体的な準備の重要性は誇張され過ぎることはありませんが、精神的な準備は軽視されがちです。レア監督は、精神的な準備が目標達成のカギになると言います。

   

マインドセットよりも重要なものはありません。うまく走る自信がなかったら、実際にうまく走れないでしょう。実に単純なことです

      

 

【カギとなる6つのポイント】「アスリート的マインドセット」その3: 勝負. 

   
1.レースの計画を立てる

トレーニングの計画を立てる大切さは、どんなランナーでも知っていること。ただ、レース当日の計画を立てそびれると、それまでしてきたどんな努力も水の泡になってしまいます。レースの前・最中・後のすべてを綿密に計画しましょう。何を持っていけばよいのか、レース前の食事はどこで何を食べればよいのかなどについて、きちんと把握しましょう。食べ物に関しては、当日に胃が驚かないように、準備期間中に一度試食しておきましょう。 レース当日に身に着けるギアとシューズは数週間前に一度身につけてみて、実際にレースのテンポで走ってみることをおすすめします。

 

2.プレッシャーを取り除く

レースのプレッシャーを取り除いて、貴重なエネルギーの蓄えが奪われないようにすることは大切です。レースが計画通りにいかなくても大丈夫。レースはほかにもあります。また、レースに出場することによって経験値が増え、より優れたランナーへと成長できることは変わりません。レース当日には予測不可能なことが多くあります。できる計画をすべてやったら、あとは成り行きに任せることを学ぶことも大切です。天気予報が外れたり、何らかの理由で給水ポイントを見過ごしてしまったりして期待通りに物事が運ばなくても、それはレースの一部です。柔軟性を持って調整できるようにしましょう。それを受け入れ、適応して、前に進み続けるのみです。 

 

3.心の中でレースを走る

視覚化はパフォーマンスを増強する強力なツールです。可能ならば、事前にレースコースの一部を走って、光景を目に焼き付けておきましょう。レースに参加するために長距離の移動が必要で、事前にコースを走れないならば、オンラインで動画を探すのも手です。それも無理なときは写真を見たり、詳しい情報を読んだり、そのコースを走ったことのあるほかのランナーと話をしたりできます。できるだけ多くの情報を集めて、レースを視覚化することで予期せぬ驚きをなくしましょう。

  

4.準備万端だと自分に言い聞かせましょう

レースをより楽にするために、これまで厳しい練習に励んできました。レース当日に自分の真の力を発揮する準備は万端です。トレーニングを積んで、より優れたランナーへと進化したあなたにとって、素晴らしいレースとなるに違いありません。レース前に今までのトレーニング記録やStravaのプロフィールを見直して、自信を高めましょう。どれだけの距離を走ってきたのかを確かめ、記憶の中にある素晴らしいワークアウトを見直しましょう。そして準備はできていると自分に言い聞かせるのです。 

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