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防水ギアが水を通さない理由とは?

いつも日差しが降り注いでいるような場所でなくとも、防水加工されたシューズやウェアがあれば冒険の可能性は広がります。しかし、軽量で通気性もある高性能ギアは、どうやって風や雨をはねかえしているのでしょうか? ここでは、Onの防水ギアに使われている賢い技術をご紹介します。

 

10月中旬のノルウェー西部、フィヨルド沿岸の港町オーレスン。風がヒューヒューと吹きすさぶ中、私たちはシダが生い茂る野原を進んでいきました。降りしきる雨があられに変わる頃、今度はマウンテンバイクに乗ってアウトドア体験にもっと冒険らしさを加えることにしました。トレイルは次第にぬかるみへと変わり、タイヤに残されたわずかなトラクションは歯が立たちません。ここからは上り坂が続きます――。

 

もし今、あなたの頭の中に浮かんだイメージが、数人のアウトドア愛好家たちの姿だったら、しかも全身ずぶ濡れの姿だったら、合っているのは最初の部分だけです。なぜなら、私たちは地元案内人にアドバイス通り、「悪い天気などない、あるのは悪い服装だけだ」というノルウェーのことわざに従っていたからです。私たちは防水ギアで完全装備して、オーレスンの感動的な自然を体験しに行ったのです。

 

困難な地形と悪天候の中で防水ギアのありがたみを噛みしめていた私たちには、ふと重要な疑問が浮かびました。防水ギアは実際どのような仕組みになっているのだろう、と。なぜ水をはじくことができるのか、と。そこで私たちはOnラボ所属の開発者とデザイナーにこの疑問をぶつけることにしました。すると彼らは、パワフルな素材、独創的なデザイン、そして巧妙なエンジニアリングが織りなす、もう1つの冒険へと私たちをいざなってくれたのです。

 

 

1. すべては素材から

 

水や風がギアに侵入しないようにするには、まずは肌と雨風の間のバリアーとなる素材が力を発揮しなければなりません。しかも軽さを維持したままとなれば、簡単なことではありません。水や風を防ぐことと、透湿性を追加してさわやかで快適な状態を保つことは別問題なのです。そこでエンジニアリングの出番です。

 

防水性を持たせるための最初のステップは、衣服の表面の撥水コーティング処理です。この処理を行うと、多少の雨であれば、水は素材の中に染み込まず表面上をさっと流れ落ちていきます。Waterproof Anorakに施されているDWR(耐久性撥水)加工なら、PFC(過フッ素化合物類)を含まず、よりサステナブルに撥水コーティング処理ができます。自然環境を害する化学物質は使われないため、私たちがこれからも探検しに行きたい自然を守ることができます。防水シューズの場合はシューズの表面だけでなく、シューレースにもコーティングが施されています。余分な水がシューレースに染み込んで、シューズが重くなるのを防ぐためです。

 

Waterproof Anorak
防水&防風機能に優れた通気性の良いアノラック。
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しかし、オーレスン滞在中のときに降ったような大雨は、アウトドアの冒険を一瞬にして困難なものに変えてしてしまいます。そのような場合に備えて、1つ上のレベルの防水性を持つギアを用意する必要があります。そこで登場するのが、防水メンブレンです。メンブレンとは、撥水性のあるトップレイヤーと、その下に他の透湿性レイヤーを組み合わせた、水をはじく(疎水性)素材のことです。

 

メンブレン選びのコツは、単に水を通さないというだけでなく、それ以上の機能を持つものを選ぶことです。子供の頃、雨の日に分厚くて重いゴム長靴を履いて、足や足首が熱くなって蒸れたことはありませんか? 冒険をもっと楽しむためにも、メンブレンは防水性に加えて透湿性と軽量性を兼ね備えたものを選びたいものです。そうすれば、土砂降りの雨が降ってきても、足元は爽やかで軽快なまま、アクティブに動き続けることができます。Parkaのような一部のアパレル製品では、環境に配慮したPTFE(フッ素樹脂)フリーのメンブレンを使用しています。

 

Parka
調節可能な、リラックスフィットのParka。風雨から体を守り、オールシーズンに対応。
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まとめると、雨はギアの表面に施されたDWR加工ではじかれます。そして、もし雨がこの最初のバリアを通り越して浸透してしまっても防水メンブレンで対処できるということです。

 

 

2. 雨を寄せつけない賢い設計

 

素材は、強力なウォータープルーフ製品を支える筋肉のようなものです。しかし、筋肉があっても賢さがなければ、大雨の中では役に立ちません。私たちはホテルStorfjord Hotelに滞在中、どんな天候でもアウトドアで本格的な冒険に挑戦すると決めていました。そこで私たちが必要としたのは、パワフルなだけでなく、ノルウェーのフィヨルドで降る季節の雨に対応できるような、賢い設計のギアでした。

 

防水ギアを設計する際に最初に考慮されるのは、水が実際にどこから来るのかという点です。歩いたり走ったりすると、雨はたいてい体の前面に当たります。ですから、腕の下や足のうしろなど雨の影響を受けにくい部位に、通気用の開口部を設けるようにします。このように、Onではアパレルやシューズの各部位に防水機能を持たせるのではなく、適切な部位に適切な機能を持たせるようにしています。

 

 

シューズの場合は…

 

一方、フットウェアは全体的に防水加工を施す必要があります。上からだけでなく、下からも水が入ってくるためです。そこで、Onではすべての防水シューズに足首まで360度包み込むメンブレンを使用しています。また、シューズの表面やシューレースに施されたDWR加工と組み合わせ、どんなコンディションでも冒険を続けられるよう仕上げています。

 

このような防水ギアのお陰で、私たちは大雨の中でも体や足をドライに保つことができ、周りの自然に意識を集中させることができました。息を呑むほど美しいフィヨルドの景色や、テクニカルでありながらもアクセスしやすいトレイルなど、たくさんのことを目で見て、体で感じることができたのです。しかし、防水ギアの謎を解き明かす旅はまだ終わりではありません。次は防水加工の構造を見てみましょう。

 

Cloudrock Edge Raw
リサイクル素材を高い割合で使用し、染料や漂白剤を使わず仕上げたハイキングブーツ。環境になるべく負荷をかけないことを念頭にデザインされました。
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3. 雨をはねかえす構造

 

ギアに防水性を加える素材や設計について話をしてきましたが、この2つの要素よりもさらに重要なことがあります。想像してみてください。最先端のデザインを施した素晴らしい防水素材に、針で穴を開けるところを。もったいないことをすると思われるかもしれませんが、パーツを縫い合わせなくてはジャケットやパンツ、シューズは作れません。私たちのワードローブにしまわれた服すべてに共通してあるもの。そう、それは縫い目です。

 

ウォータープルーフの場合、これらの縫い目にも他の部分と同様の防水性が求められます。そうでなければ、これまで述べてきたような水の侵入を防ぐための努力はすべて無意味になってしまいます。縫い目の穴から水が浸入するのを防ぐには、すべての縫い目を内側から防水テープで塞がなければなりません。また、摩耗や破損を防ぐために、縫い目の配置にも工夫を凝らす必要があります。

 

アウトドア用のウェアは、収納を増やすためにバックパックやベストと一緒に着用するのが一般的です。ところが従来の縫い目は肩に沿って配置されるため、その縫い目にバックパックのストラップの圧力が加わると、快適性が損なわれるだけでなく、防水ギアの寿命も短くなってしまいます。そこで、Onのギアの縫い目は通常の位置ではなく、快適さと防水性が最も長く持続できる位置に配置されています。

 

 

最後に、防水ギアを着脱したり、通気性を加えたりする上で大切なファスナーについてもお話します。防水ギアの細部にまでこだわるのなら、ファスナーにも風や雨を防ぐ機能を持たせるのは当然のことです。撥水加工を施した通常のファスナーを使用することもできますが、これは理想的な方法とは言えません。

 

なぜなら、素材の数が増えて重量がかさんでしまうからです。また、止水ファスナーは水の侵入は防ぎますが、本当にワイルドなランニングやハイキングの際に使える完全な防水タイプではありません。そこで、私たちは解決策として防水タイプのファスナーを使用しています。見た目は通常のファスナーと同じですが、追加の処理なしで防水性を発揮できるように製造されています。

 

Waterproof Pants
軽量で保護性に優れ、実用的な機能が満載のWaterproof Pantsは、最悪の天気でも最高の瞬間を見つけられるアイテム。
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さて、長い旅でしたね。ホテルを出発して、緑濃い森の中を通り、素材やデザイン、構造といった興味深い話を長々としてきました。体を動かし、新鮮な空気を吸い、そして何よりも新しい知識を学んだので、ここらへんで少し休憩することにしましょう。

 

オーレスンの暖かい部屋に戻った私たちは、防水性は低くても着心地がとても良いリカバリー用のウェアに着替えました。新たな冒険でもっと激しい雨が降っても乗り切れるよう、ここでたっぷり充電です。ひょっとしたら、今度はリフレッシュしに水の中に飛び込むことだってあるかもしれません。オーレスン周辺のフィヨルドには、美しい自然だけでなく、水も豊富にあるのですから。

 

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