素材は、信じられないほど革新的な製品を生み出す機会を無限に与えてくれます。ただ、素材は意識して慎重に選ばなければいけません。以前、私たちのサステナビリティチームが膨大な量のデータを分析した結果、環境フットプリントの最大80%が素材によるものだということが明らかになりました。これは問題です。でも、このような課題をチャンスと捉えるのが、私たちOnです。問題の解決策を探すための取り組みは、私たちが愛して止まないイノベーションを起こすきっかけの1つでもあるのです。
そうして私たちがシューズの製造により多くのリサイクル素材を使い、温室効果ガス(CO2)排出量を減らし、循環型システムを導入していく中で、パッケージの見直しを行うのはごく自然な流れでした。もちろん私たちはこれを、更に美しいパッケージデザインを生み出す機会としても捉えました。
まずは厳しい現実について話しましょう。地球の未来を考えるうえで大切となる数字を皆さんに正直にお伝えします。
新しいパッケージに切り替えると、最低でも:
–黒インク:7トン
–紙:18トン
–プラスチック:15トン
–最終的にCO2換算で160トン
削減できるようになります。
これは喜ばしい数字です。そして何よりも、最良の解決策を探し続けることの大切さを教えてくれています。
では次に、これらの削減をどうやって実現したのか、説明します。
高品質な素材に第二の人生を与えることができると分かっているのに、なぜ化石燃料を枯渇させる必要があるのか――。これは、私たちがこれまでシューズやアパレルの製造に使っていたデザインアプローチです。私たちはこれを、今回のパッケージデザインにも取り入れました。
シューズボックス、靴下、シューレースの新パッケージはリサイクル素材を100%、アパレル製品の梱包には99.9%以上使用するようにデザインを改めました。
Onのサステナビリティ・プロダクトデザインチームは努力を重ね、プラスチックの代替品を見つけると同時に、産業廃棄物を使い強度と保護力を兼ね備えた、美しくて手触りの良い軽量パッケージを開発することに成功したのです。
最大の長所は、全てのパッケージを簡単にリサイクルできること。リサイクルの仕組みは国によって異なるので、お住まいの地域の自治体や身近な人に確認して、ぜひリサイクル活動に貢献してください。
「パッケージデザインをサステナビリティ戦略の一環として取り入れるのは、長年考えていたことでした。100%リサイクル素材を使用し、なおかつ当社の品質基準を満たすものを見つけるのに時間がかかりましたが、それを実現することができ、またその結果に心から満足しています」-ビビアン・グート、サステナビリティ部門責任者
PVC?
Onが使う段ボールは100%リサイクルされているだけでなく、森林保護に取り組む環境団体の認証も受けています。また、ボックスに使用する黒インクの使用量を減らすことで、環境への負荷を大幅に軽減しました。
「黒で統一したこれまでのブランド戦略を手放すことについては、社内で議論がありました。Onのような若い企業がこれを実行するのは、かなり勇気のいることです。しかし、数字を目にした時、もうそれは『やるかどうか』ではなく、『いつやるか』というタイミングの問題になりました」。プロダクトデザインチームのマヤ・マーティンはそう語ります。「結果として、新鮮で明るく、楽観的な、私たちが愛するミニマルでシンプルなデザインを維持することができました」
これまで愛用してきた黒一色のデザインを明るい色に変えることで、インクの使用量を大幅に削減することができました。外面印刷用のインクは水性塗料で、以前使用していたPVC(ポリ塩化ビニル)インクよりもはるかに環境に優しいものです。
仕事の魂は細部に宿る
靴下を留めるための小さなプラスチックのタグが「キンブル」と呼ばれていることをご存じですか?今回アップグレードされた新しい靴下のパッケージで、私たちはそのタグに別れを告げることにしました。
また、シューズボックスの中にあるステッカーやシリカゲルの袋も同じです。新しく開発したシルクベースのティッシュラッピングは、湿気を防ぐのと同時にシューズを保護します。その特別感は、ギフトの包装を解くときのような感覚さえもたらします。
「私たちは細部に至るまで、全てを検討しました。どんなに小さなことでも、何百万ものシューズの出荷によって積み重なれば膨大な量になります。より持続可能な代替品を見つたり、特定の追加要素を完全にカットしたりすることで、廃棄物を長期的に削減できます」-ビビアン・グート、サステナビリティ部門責任者
時代と共に
また、イノベーションに力を入れている企業としては、紙に印刷された書類をボックスに同封している点も見逃すわけにはいきません。そのため今後は紙の書類を廃止し、QRコード(これも水性インクで印刷されています)を読み取るだけで簡単に閲覧できるようになります。スマートフォンやタブレットのカメラなどでスキャンすれば、指先で簡単に返品・交換手続きが行えます。ごみが出る心配もありません。
ただ、従来のパッケージは最後の1つまで使い切りたいと考えています。ですので、もしかしたらしばらくの間、新旧両方のボックスを受け取る場合があるかもしれません。
どちらのパッケージが届くのか?それはしばらくの間のお楽しみです。
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