「マラソン」という言葉は紀元前490年、ギリシャ軍がペルシャの大軍に奇跡的に勝利したことを知らせるため、マラトンからアテナイ(現アテネ)へと休まず走り、そのあと息絶えた一人の兵士フェイディピデスの故事に由来します。この故事にちなみ、現代のオリンピックにおける競技としてマラソンが実施されるようになりました。
マラソンで走る距離の42.195kmは、とてつもなく長い道のり。その全体像は、初めての人には想像もつきません。そこで、経験者が口々に語る「マラソンの旅」とは何かをふまえながら、初マラソンに向けて取り組むランナーに役立つ8つのヒントをご紹介します。
ヒントその1:毎日の生活に大きく関わることだと理解する
マラソン大会の準備に費やす時間に比べれば、レース本番は短いもの。トレーニングに必要な正しい食事の取り方から、トレーニングそのもの、そして「マラソンの準備はOKか?」という自問の繰り返しや正しいトレーニングギアの調達など、やることがいっぱいで気分が滅入ってしまいそうです。またレース当日までのカウントダウンを始まると、仕事以外の時間はそのことばかりが気になってしまうもの。規則正しいトレーニングも大切なので、大会までの数カ月は家族や友だちに会えなくなりがち。親しい人たちにはマラソンのことを前もって伝えて、良い関係をキープしたいですね。
ヒントその2:十分な準備などない
トレーニングはマラソン以上に大変。ガイドなどを読み漁っても、結局のところ、食べ物、水、ギア、ランニングフォームの正しいコンビネーションを見つけ、計画を立て、実行するところまで、すべて自分で考え、試す必要があります。「どんな種類のクリームが擦れや摩擦に効果があるか」、「1kmを平均4分40秒で走るにはどの位のストライド(歩幅)にすればいいか」、「どの走り方が長距離に最適か」など、普段はしないような検索をネットで始めたりするかもしれません。マラソンに参加すると決め、申し込んだ時点で、すでにあなたはランナー。これまで知らなかった、楽しいラン用語や知識を身に付けていくのです。
「テーパリング( tapering )」というマラソン用語があります。初心者は初めて聞く言葉かもしれませんが、マラソンのトレーニング量を漸減する、つまりレース日に向けてトレーニングの量を減らしていくという意味です。ある調査によると、レースで最高の結果を出すには、本番の3〜4週間前から長距離のマラソントレーニングを行う必要があります。そのあとで本番に向けてトレーニングを減らしていくことは理にかなっていないように思うかもしれません。しかし、テーパリングは万全の状態で本番を走れるよう、足を労り体力を温存させることを目的としています。もちろん、トレーニングは計画通り最後まで続けていきます。
準備に関する最後のヒントは、あらゆる天候下でのトレーニングの実施です。どんなに良い天気になるよう願っても、本番の天気がすぐれないことはあります。小雨や大雨でマラソンを中断してしまうのはあまりにも残念。それに、事前に悪天候の中でトレーニングしておけば、一つの経験にもなります。ある研究によると、マラソン初級者がランで最高の結果を出す理想的な気温は、摂氏6.5度。少し低いくらいの気温のほうが、落ち着いた走りができるようですね。